※不定期に、成年後見制度の在り方に関する研究会報告書の内容を、自身の勉強用として記録しています。正確な内容は、原文にあたってください。
現行の法定後見制度の問題点の指摘の整理
・制度利用の動機となった課題が解決し、本人やその家族において、家族による支援やその他の支援によって制度利用の必要がなくなったと考える場合でも、判断能力が回復しない限り制度の利用が継続すること。
・本人にとって必要な限度を超えて、本人の行為能力が制限される場合があること。本人の自己決定の尊重をさらに重視する観点からすると、成年後見制度の取消権(その前提としての同意権)や代理権が広すぎること。
・成年後見人等による代理権や財産管理権の行使が、本人の意思に反し、又は、本人の意思を無視して行われることで、本人の自律や自己決定に基づく権利行使が制約される場合があること。
・本人の制度利用のニーズの変化に応じた成年後見人等(特に専門職後見人)の交代が実現せず、本人のニーズに合った保護を十分に受けることができないこと。
”本人の自己決定の尊重”と”本人の保護”とが緊張関係にあると考え得る場面がある
→本人が騙されていたり、虐待被害を受けていたりする場合に、本人がそれを受け入れてしまって周囲の支援者の話を聞いてくれないときなど
民事基本法制としてどのような制度が望ましいのかという観点を踏まえて検討を進めることが重要。
権利擁護支援・・・”権利行使の支援”や”権利侵害からの回復支援”を主要な手段として、支援を必要とする人が地域社会に参加し、ともに自立した生活を送るという目的を実現するための支援活動。
(障害者権利条約に基づく審査の状況を踏まえて見直すべきとの指摘があるが、)現実的には意思決定支援の可能性が尽きた場合の最終的な方法としての代行決定の仕組みは残さざるを得ない旨の指摘があり、取消権・代理権による保護を完全に廃止することについて、慎重に検討する必要がある。
任意後見制度
成年後見制度利用促進基本計画・専門職団体等による指摘
・本人の判断能力が十分でなくなり、それを欠く等の状況に至っても任意後見監督人の選任申立てがされていない
・任意後見受任者において、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任申立てを行わなければならない旨の規律を明文で規定すべき
・本人の判断能力喪失を任意代理契約の代理権消滅事由とする規定を創設すべき
・任意後見受任者だけあに任意後見監督人選任の猛威ステートの判断を委ねるのではなく第三者関与の仕組みを構築すべき
・任意後見人の代理人の範囲を拡張する必要が生じた場合に、本人の判断能力が減退し、任意後見監督人が選任された後は、新規または追加で任意後見契約をすることは困難であり、制度として硬直的
・現行法は、任意後見を法定後見に優先させているものの、本人について同意見・取消権による保護が必要な場合には法定後見への移行を予定しており、任意後見制度を活用できる局面が限定的