平成28年4月 成年後見制度利用促進法 成立(議員立法)
平成29年3月 基本計画 閣議決定
基本計画は、成年後見制度利用促進法12条1項に基づき、成年後見制度の利用促進に関する施策の総合的かつ計画的な促進を図るために策定される。
”第三章 成年後見制度利用促進基本計画
第十二条 政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度の利用の促進に関する基本的な計画(以下「成年後見制度利用促進基本計画」という。)を定めなければならない。
2 成年後見制度利用促進基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 成年後見制度の利用の促進に関する目標
二 成年後見制度の利用の促進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 前二号に掲げるもののほか、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、成年後見制度利用促進基本計画を変更しようとするときは、成年後見制度利用促進基本計画の変更の案につき閣議の決定を求めなければならない。
4 法務大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、変更後の成年後見制度利用促進基本計画をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。”
成年後見制度利用促進法
政府:基本計画は成年後見制度利用促進策の基本的な計画として位置付ける
関係機関:基本計画に基づき、成年後見制度の運用改善や、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり等の取り組みが進められる。
専門家会議:関係機関の取り組みの進捗状況等について中間検証が行われる。
平成28年
成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律 成立
成年後見人が家庭裁判所の審判を得て成年被後見人宛郵便物の転送を受けることができること及び成年後見人が成年被後見人の死亡後も一定の事務を行うことができるとされた。
令和元年
成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律 成立
欠格条項から個別審査規定へ
欠格条項・・・成年被後見人及び被保佐人を資格、職業、業務等から一律に廃除する規定
個別審査規定・・・心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、各制度において必要な能力の有無を判断する規定
令和4年3月
第二期基本計画 閣議決定
対象期間:令和4年度から令和8年度
○ 制度の利用を必要とする人が、尊厳のある本人らしい生活を継続することができる体制の整備を目指すものでなければならない。
× 単に利用者の増加を目的とする
成年後見制度→権利擁護支援の重要な手段の一つと位置付ける。
国:成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。
障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続・本人の地域社会への参加等のノーマライゼーションの理念を十分考慮した上で、専門家会議における指摘を踏まえて検討。
運用改善に向けた取り組み
適正な報酬の算定に向けた検討
報酬の在り方について検討
∵成年後見人等の報酬決定について、できるだけ予測可能性の高い制度にすべきとの指摘がある。
障害者権利条約
平成18年12月 国連総会で採決
平成20年5月 発効
平成26年1月 日本が批准
平成26年2月 日本で効力発生
障害者権利条約12条(法律の前に等しく認められる権利)は、成年後見制度との関連において重要な規定とされる。
- 1 締約国は、障害者が全ての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。
- 2 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。
- 3 締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機会を提供するための適当な措置をとる。
- 4 締約国は、法的能力の行使に関連する全ての措置において、濫用を防止するための適当かつ効果的な保障を国際人権法に従って定めることを確保する。当該保障は、法的能力の行使に関連する措置が、障害者の権利、意思及び選好を尊重すること、利益相反を生じさせず、及び不当な影響を及ぼさないこと、障害者の状況に応じ、かつ、適合すること、可能な限り短い期間に適用されること並びに権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査の対象となることを確保するものとする。当該保障は、当該措置が障害者の権利及び利益に及ぼす影響の程度に応じたものとする。
- 5 締約国は、この条の規定に従うことを条件として、障害者が財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用を利用する均等な機会を有することについての平等の権利を確保するための全ての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。
●利用者数(令和4年12月末時点)
合計245,087人
成年後見178,316人
保佐人49,134人
補助人14,898人
●申立件数(令和4年1月~12月)
合計39,719件
後見開始の審判申立件数27,988件
保佐開始の審判申立件数8,200件
輔助開始の審判申立件数2,652件
●申立人と本人との関係
市区村長9,229件(23.3%) 近年増加傾向
本人8,307件(21.0%)
本人の子8,240人(20.8%)
●成年後見人等と本人との関係
親族が選任された19.1%
親族以外が選任された80.9%
※候補者に親族が記載されている事件23.1%(令和4年1月から12月)